マーク・バティエ ゲスト講義

時間:2025年11月17日(月)16時20分~

場所:東京藝術大学 千住キャンパス 第2講義室

概要

電子音響音楽やコンピュータ音楽について、どのように書けばよいのか?

70年以上にわたる発展の中で、実践、スタイル、ジャンル、技術は多種多様となり、その全体像を捉えるのは容易ではない。

今日紹介する2冊の著書は、これらの問いを中心に据えている。

1. 1冊目(2023年、中国出版)

 英語と中国語で書かれ、電子音楽・コンピュータ音楽に関する教科書的な内容となっている。

2. 2冊目(2024年、フランス出版)

 「音楽家、芸術家、詩人、映画作家は、どのようにして楽器の外にある“音”に惹かれるようになったのか?」

 「彼らはどのようにして雑音、話し声、録音素材、電子音を芸術表現として扱うようになったのか?」

 といった問いを扱ったものである。

プロフィール

マーク・バティエ/Marc Battier

 Marc Battier は、器楽および電子音響音楽の作曲家である。IRCAM に20年間在籍した後、ソルボンヌ大学で音楽学の正教授となり、現在は名誉教授である。2017年には中国の「千人計画(1000 Talents)」の専門家として選出され、深圳大学(中国)の特別招聘教授に就任した。また、カリフォルニア大学サンディエゴ校(1984–1986)、ニューヨーク大学、愛知県立芸術大学(2018)でも教鞭をとった。

 彼は、ジョン・ケージ(パリ)、フランソワ・ベイル(GRM)、カールハインツ・シュトックハウゼン、湯浅譲二(IRCAM)らのアシスタントを務めた経験を持つ。ICMA(国際コンピュータ音楽協会)および Electroacoustic Music Studies Network(EMS, 2003)の共同創設者であり、さらに、東アジアの電子音響音楽を研究するネットワーク EMSAN(2007)の創設者・ディレクターでもある。

 西洋およびアジアのさまざまな楽器のための作品を作曲しており、Leonardo、Leonardo Music Journal、Computer Music Journal、Organised Sound に多数の記事を発表した。また、電子音楽史に関する書籍や論文も多数執筆している。

 現在、Organised Sound の理事を務め、Leonardo の名誉編集委員でもある。さらに、New Grove Dictionary of Musical Instruments および The Grove Dictionary of American Music にも寄稿している。2023年には中国で 『Computer Music in the 21st Century: History and Practice』 を出版した。最新の著書 『Esthétique du son artificiel(人工的な音の美学)』 は今年フランスで刊行された。

現在、ICMA のアジア/オセアニア地域ディレクターを務めている。彼の音楽は BabelScores より出版されている。